時に 西暦2008年
人々の失われたモノ
すなわち、職の補完は続いていた
だが、その全てを記すにはあまりにも時間が足りない
よって今は、クマ太郎という名の中年
彼の補完について語ることにする
クマ太郎の場合
恐怖
仕事が見付からないこと。
でも、こんな世の中ならいいと思う。
何故?
だって、ヒッキーは要らない人間だから。
「本当に?」
やっぱりヒッキーは要らない人間なんだ。こんな僕なんてどうでもいいんだ。
どうでもいいと思うことで逃げている
外に出るのが怖いんだ・・・。
面接に落ちるのが怖いんだ・・・。
同級生に会うのが怖いんだ・・・。
そんなの、皆同じじゃないか
そうだ。僕達は皆同じなんだ。職歴がどこか欠けている。それが・・・怖いんだ。不安なんだ。だから・・・今、ニートになろうとしている。VIPにスレを立てようとしている。それが・・・補完計画。求人広告も履歴書も、脆くて弱いもので出来ている。だから、お互いに補完し合わなければならない。
何故?
そうしなければ、生きていけないから・・・
「本当に?」
何故・・・生きてる・・・?
「わからない」
それを知りたくて・・・生きてるのかな・・・
誰のために生きている?
多分・・・自分のために・・・
生きていて楽しい?
・・・わからない。
生きていて楽しい?
楽しくないに決まってるだろ。
生きていて楽しい?
働いたら負けだと思っているんだ。
働くのは嫌い?
好きじゃない。・・・働いてないのは僕一人じゃない。職歴が無いのも僕一人じゃない。そう考えると楽だから・・・そう思ってるだけ。
・・・僕の事なんか、どうでもいいんだ!
そうやってすぐに、自分の価値を放り出す
僕には、学歴が無いもの。
またそうやって、学歴が無いと思い込む。そう思って、引き篭もっていれば傷つくことはない。
NEET。憂鬱な気分。僕の気分みたいだ。好きじゃない。
ハロワ。集まってくる無職者。僕の願い。好きじゃない。
日の出。今日の始まり。またいつもの引き篭もりの始まり。好きじゃない。
面接。当社とは縁が無かったetc・・・。テンプレ。怖いもの。好きじゃない。
・・・何を願う?何が欲しい?何を求めている?怖いものは・・・欲しいものは・・・
ここに居てもいい。そばに居ても・・・いい。
「面接官のこと、」
「好き?」
「面接官のところにはいかない?」
行きたくない。
どうして?
質問をされるのが怖いんだ。テンパってキョドってしまうかもしれないから。
何を願う?何を求める?
欲しいんだ。僕に価値が欲しいんだ。誰もクビにしたりしない、大事にしてもらえるだけの価値が・・・。
それは自分自身で得るしかない。自分が必要とされる価値を・・・だから、ヒッキーをやっている。
そうだ。バイトも一つの道。負け組の中の可能性。色んな負け組みがあり得るんだ。・・・そうだ。社員登用する事だってあり得るんだ。
そう思えば、フリーターだって決して悪いものじゃない
フリーターは悪くないかもしれない。でも面接は嫌いだ。
面接を悪く捉えているのは、君の心だ。面接を不採用告知に置き換えている君の心だ。
面接は人の数だけ存在する。だが、君が受けた面接は1つだ。人1人が1日で受ける面接の数なんてちっぽけなものだ。
与えられたテンプレでしか、質問をシミュレートしようとしない。
最近見たニュースは?当社を希望した理由は?そう教えられたら、そう思い込んでしまう。
質問だって、答え易いものもあるのに。
他人の質問予想なんて、その程度のものだ。だからこそ、より正確な質問を知りたくなるよね。
ただ、人と目を合わせながら喋ることに慣れていないだけだ。
・・・でも、今回の面接は死亡フラグが立ってるんじゃないのかな?
・・・馬鹿だ。一人でそう思い込んでいるだけだ。
でも、僕は僕が嫌いなんだ。
自分が嫌いな人は、他人と関係を持ったり、2ちゃんにスレを立てたり出来ない。
・・・僕は、卑怯で、弱虫で、ずるくて、臆病で、NEETで、引き篭もりで、ウザくて、ネガティブで、ねらーで、キモヲタで、短足で、背が低くて、中年で、ニコ厨で、童貞で、自宅警備員で、ピザで、DQNで・・・
自分が分かれば、優しく出来るでしょう?
僕は働くのが嫌いだ。でも、
好きになれるかもしれない。
僕は、働いてもいいのかもしれない。
そうだ、面接官も人でしかない。
僕は僕だ!働きたい!
僕は働いてもいいんだ!
おめでとう。
おめでとう。
おめでとう。
おめでとう。
おめでとう。
おめでとう。
おめでとう。
おめでとう。
おめでとう。
あ り が と う
VIPにありがとう。
NEETにさようなら。
そして全てのヒッキーに
おめでとう。